【香港=木原雄士】デモ参加者のマスク着用を禁じる「覆面禁止規則」が施行された香港では、5日も各地で抗議活動が広がった。香港島中心部のデモでは、禁止されたマスク姿の参加者が幹線道路を行進した。鉄道全線の運行停止や商業施設の相次ぐ閉鎖で、市民生活への影響が拡大しつつある。香港政府は平静を取り戻すよう呼びかけるが、覆面禁止の措置が一段の反発を招いている。
覆面禁止は5日午前0時に施行された。行政長官の権限であらゆる規則を適用できる「緊急状況規則条例」を発動し、立法会(議会)の手続きを経ずに適用した。4日夜から政府の強引な手法に反発が強まり、香港各地で抗議活動が起きた。
一部の若者らは4日夜、鉄道駅や列車、中国銀行など中国本土と関わりが深い企業の店舗などを破壊した。地下鉄を含む鉄道各線は5日も一部を除いて運行停止が続く異例の事態になった。大型商業施設やコンビニエンスストアの臨時閉店が相次ぎ、開店している店では日用品を買い求める人で混雑した。
林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は5日、市民向けのビデオメッセージで「暴徒の極端な行為によって、香港市民は暗い夜を経験した。香港はきょうも半分マヒしている」と指摘した。「政府は最大限の決意で暴力を止める」と述べ、覆面禁止の措置に理解を求めた。
香港デモは最初の100万人規模のデモから4カ月近くたつが、覆面禁止によって緊迫の度合いが増している。デモを強引に抑え込もうとする政府のやり方に若者らの怒りが高まっており、今後も過激なデモが続く可能性がある。
市民の間では警察のふるまいに対する反発も強まっている。4日夜にはデモ隊に襲撃された私服警官が実弾を発砲し、14歳の少年が大けがをした。1日にも高校生が警察官に撃たれており、市民の反警察感情が高まっている。
2019-10-05 09:08:48Z
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