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自律的に化学実験するロボット科学者、研究の自動化に成功 8日間で約700回の実験、人間なら数カ月 - ITmedia

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

  英リバプール大学の研究チームが開発した 「A mobile robotic chemist」は、年中無休で化学実験を自律的に行う研究ロボットだ。人間だと数カ月かかるところを8日で完了し、研究の自動化を実証した。

photo 実験を自律的に行うロボット

 ロボットは、重量400kg、 高さ1.75m、 研究室を動き回れる移動式で、先端にグリッパーが付いたロボットアームが上部に取り付けられている。バッテリーの充電時のみ停止し、それ以外は毎日21.5時間動作する。

 ロボットは、固体の計量、液体の分注、容器からの空気の除去、触媒反応の実行、反応物/生成物の定量化など、多様な実験のタスクを独立して行う。

 動作はビジョンベースではなく、レーザー光で距離を測定するLiDARを使用して物体を特定し、 タッチフィードバックで握る力を調整している。そのため、光分解反応やガスクロマトグラフなどの実験装置間を行き来し、バイアル(実験に使用するガラス製の小瓶)を割ったり落としたりすることなく、つかんで指定した場所へ届けるタスクを安定して行える。

photo バイアルをつかんで移動させる様子

 ロボットを使った最初の実験は、光を利用して水から水素を効率的に生成するための混合物を探索するタスクだった。ロボットは8日間で192時間のうち172時間動作し、688回の実験を行った 。これを行うために、319回の移動、6500回の操作を完了。合計2.17kmの距離を移動した。

 ロボットは9億8100万を超える実験候補を対象に、前の実験の結果に基づいて次に行う最適な実験を決定する。これを行うことにより、研究チームからの追加操作なしで、初期配合の6倍以上の活性を持つ光触媒混合物を自律的に発見し、同定することに成功した。

photo ロボットが動き回る無人の実験室

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July 15, 2020 at 01:40PM
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