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「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」第三期生となる10名を決定!! - PR TIMES

■「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」ついて
数学や物理学、生物学、化学などの分野における基礎研究に取り組む若手研究者の支援を目的に独立系ベンチャーキャピタルANRIが開始した、給付型奨学金プログラムです。
短期的には結果を出すのが困難で事業化には直結せずとも、長期的には日本の科学技術に意味ある分野の研究支援を行うことで、日本の科学技術の発展に貢献することを目指しています。

この度、同プログラムの第三期生となる10名が決定したことをお知らせ致します。

ANRIはこれまでに4本のファンドを立ち上げ、累計で約300億円を運用し、未来を作る起業家の支援を行って参りました。特に大学発ベンチャーを創業支援する中で、これまで日本への発展に貢献してきた基礎研究に対しての資金が集まりづらくなっており、学生には厳しい環境が続いていると感じています。
そこで、給付型奨学金プログラムである「ANRI基礎科学スカラーシップ」を開始致しました。

短期的には結果を出すのが困難で事業化には直結しないような分野であっても、長期的には日本の科学技術に意味ある分野の研究支援に繋がると確信しております。
世界には、Peter ThielがThiel Fellowshipという奨学金プログラムやEric SchmidtがSchmidt Science Fellowsという奨学金プログラムを実施する等、ベンチャー経営者やVCが世界の発展の為に奨学金プログラムを運営しています。ANRIとしても、本取り組みを通じて今後も日本科学技術の発展に寄与することを目指しております。

「ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowship」第三期生となる10名は以下の通りです。
本人コメントと共にご紹介いたします。

<ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowhip募集要項>
※第四期生の募集については、2021年春以降にANRI公式メルマガでお知らせいたします※
募集開始の通知をご希望の方は メルマガにご登録をお願い致します。
記事の後半にメルマガ登録方法や対象条件等の詳細が記載されていますのでご確認下さい。

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■ 金 穂香さん 京都大学大学院理学研究科化学専攻 光物理化学研究室
生命がもつあらゆる機能には、タンパク質が関わっています。私は光に関わる機能を担う光センサータンパク質、中でもPYPと呼ばれる紫外―青色光センサータンパク質を研究対象としています。同じPYPでも異なる生物から単離するとアミノ酸配列が少し違っていて、全く違う反応を示すことがあります。本研究ではこのようなPYPが示す「多様性」に焦点をあてており、少しのアミノ酸配列の違いが生み出す多様性を分子レベルで明らかにしています。また本研究では過渡回折格子法 (TG法) という独自の分光法を用いて、ミリ秒付近でおこる構造変化からその後に起こる分子間相互作用に至るまでの過程を実時間観測しています。この手法を他の様々な測定手法を組み合わせることでより精度の高い比較を行い、既存の枠組みでは説明することができないPYPの機能の多様性に迫っています。近年光センサータンパク質は生体機能を光で操作する技術など、様々な方面で大活躍しています。私が行っている研究はこのような応用に直結するものではありませんが、長い目で見れば応用面での様々なポテンシャルをもった基礎研究だと考えています。今回本研究の将来性を認めていただき、ANRI基礎科学スカラーシップに採用していただいたことを非常に嬉しく思います。いただいたご支援を研究成果に変えて、社会に還元していけたらと思います。
 
■ 藤田 大樹さん 東京大学大学院 薬学系研究科 薬科学専攻
医薬品は精密に設計された化合物であり、センシティブな部位を多く有しています。一般に医薬品は、何工程もの複雑な化学反応を経ることで合成されているため、それらの反応しやすい部位の取り扱いは非常に重要な問題となります。従来は一つの化合物を作るため、合成経路を精緻に設計し、反応させたくない部分はその都度保護したり、脱保護したりといった非効率なルートを取らざるを得ませんでした。私は、ホウ素という有機分子がある特定の部位と親和性が高いことを利用して、医薬品やペプチドのような複雑な化合物を温和な条件下、直接的かつ触媒的に変換する研究を行っています。現在は基礎研究段階であり、適用できる基質にも制限がありますが将来的には、ケミカルバイオロジーのツールとしても実用に耐えられるような温和で選択的な反応が実現できるようになると考えています。
今回、若手の研究を支援くださるANRI奨学金に採択いただき、大変感謝しております。若手研究者、特に博士課程の学生に対する研究費支援はほとんどなく、このような取り組みは学生のキャリア形成にとっても非常に大きな経験になると考えております。素晴らしい機会を与えていただいたことを活かし、より実用的で魅力的な研究へと展開させたいと考えております。

■ ガラムカリ 和さん  国立情報学研究所 (総合研究大学院大学 複合科学研究科)
私の研究は物理学の知見を取り入れながら、様々な機械学習アルゴリズムを俯瞰的に解釈、理解するものです。具体的には、平均場近似という物理学の手法や、情報幾何学という確率分布に関する幾何学を介して、既存の学習アルゴリズムを観察し、これまで発見されていなかったアルゴリズム同士の関係性の指摘や、なぜ高速で正確なアルゴリズムが実現されているのかという説明を試みています。長い歴史の中で体系付いた物理学と、近年ますます勢いのある機械学習/人工知能研究の学際領域には、まだ見ぬ可能性が眠っているように思います。

ANRIの皆様には、基礎科学のもつポテンシャルや重要性、投資の意義を見出してもらえたことに深く感謝しております。科学技術の発展のためには、時代の流れとともに変容する需要や流行にアンテナをはることが重要ですが、同時に、様々な応用技術の土台となる研究に心血を注ぐ人材も強く求められるはずです。研究を長期的な視座から評価することの重要性が広く認識されるように、私自身、アカデミアに閉じることなく、自らの研究を広く発信できる研究者を志そうと思います。

■ 上野 洋典さん  東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻
Googleの研究チームによる量子超越を達成したとする報告などもあり、超伝導量子ビットを用いた量子コンピュータへの期待が高まっていますが、実用に向けては大きな障壁があります。
そのうちの1つに量子ビットのエラー耐性の低さが挙げられますが、複数の量子ビット組み合わせ情報を符号化することでエラー耐性を向上でき、その復号処理は古典コンピュータによるグラフ処理に帰着できることが知られています。つまり、古典コンピュータを量子コンピュータのアシストとして用いることで量子コンピュータのエラー耐性を向上させることができるのです。
しかし、この古典コンピュータは復号のために極低温環境で動作する量子ビットを観測・制御する必要があり、通常の古典コンピュータの動作する常温環境と極低温環境の間の配線がボトルネックとなります。
そこで、それらの配線をなくすために極低温環境で動作する古典コンピュータを用いて復号処理を行うというのが私の研究のコンセプトです。
この研究は超伝導量子コンピュータが今後スケールアップしていくためには必要不可欠だと考えていますが、実現にはまだまだ時間がかかります。基礎研究の持つ重要性を把握し、本研究の将来性を評価していただいたANRIの皆様には深く感謝しております。いただいた支援を活用しつつ、今後もじっくりと研究を進めていきたいと思います。

■ 赤松 昇馬さん 東北大学大学院工学研究科応用物理学専攻
非常に微小な脳磁場を検出可能な磁気センサは、医療用脳磁計やBMI(Brain machine interface)に応用可能であり、注目を集めています。しかし、従来の磁気センサSQUID(Superconducting quantum interface device)は低温動作であるため普及が進んでいません。私が研究開発を進めているトンネル磁気抵抗(TMR)センサは、室温動作などの様々な特徴から、SQUIDに比べて圧倒的に簡便に脳磁場を計測できる可能性を持っており、実現のためにはさらなる感度向上が求められています。私は従来TMRセンサに用いられてきた材料とは全く異なるセンダスト合金に着目し、そのセンサ応用可能性を一から模索しています。私の今までの研究でセンダストが従来材料に匹敵する特性を持つことを発見し、TMRセンサ用の新材料となり得る可能性を見出しました。
この度ANRI奨学金に採択いただき、大変感謝しております。日本において博士学生に対する研究費支援は乏しく、これから博士課程に進学する若手研究者の身として、本奨学金は大変貴重なものだと感じています。また、自分と同じように博士学生として日々研究に注力している若手研究者の方々との繋がりが出来るということも大きな財産になると感じています。いただいいた支援を有意義に使い、これからも楽しんで研究に取り組んでいきたいと思っています。

■ 菊池 魁人さん カリフォルニア大学サンディエゴ校・定量生物学PhD課程
「一時停止した生命活動が再起動する仕組み」について、枯草菌の芽胞を対象に研究しています。
納豆菌の仲間である枯草菌は、栄養が枯渇すると「芽胞」という植物の種のようなものを作り出して、生命活動を無期限に停止させることができます。一方で、周囲の栄養状態が好転すると、生命活動が停止しているのにも関わらず、素早く再起動する能力も持ち合わせています。ということは、生命が再起動するメカニズムのトリガーは「活動停止前に用意でき、駆動に生命活動を必要としない、物理化学的なもの」であるはずです。
そこで、芽胞が溜め込む無機イオンに着目し「芽胞は、一種の電池のような仕組みで再起動するのではないか」という仮説を立て、研究を進めています。
ANRI奨学金は、海外からも応募できる稀有な研究支援プログラムです。採択いただき、大変光栄です。支援していただいた資金と人脈を活かして本研究を加速させるとともに、基礎研究とその技術展開について考えるきっかけにしたいです。

■ 國光 真生さん 東京大学大学院 医学系研究科 健康科学・看護学専攻 (創傷看護学)
腸管や皮膚をはじめとしたヒトの体表面には多くの細菌が存在し、 部位特有の細菌叢を形成しています。近年、これらの細菌叢が疾患の発生と密接に関係していることが明らかにされ、それに基づいて細菌叢を是正する治療方法が普及し始めました。私の研究分野である創傷領域においても、傷の上やその周りの皮膚の細菌叢が治癒や創傷感染の発生と関係することが報告されています。しかし、実際に行われている看護ケアは細菌を取り除いたり、細菌が生存しにくい環境を創生したりすることに重きを置いており、細菌叢を是正する発想はありませんでした。
そこで、創部細菌叢を最適化する新たなケアの確立に向け、現在は創部細菌叢による創傷感染発生メカニズムの解明に取り組んでおります。
新しい看護ケアの確立にはまず患者に起きている現象を解明する必要があり、そのためには基礎研究が不可欠です。しかし、看護領域において基礎研究の実施を支援する制度は多くありません。今回本研究に興味を持っていただき、そして採択に繋がった[i4] ことは大変うれしく、感謝しております。いただいた支援を最大限活用し、臨床看護をさらに良いものにすべく、研究に邁進してまいります。

■ 藤田 陽子さん 京都大学大学院 生命科学研究科 統合生命科学専攻
ウイルスそのものは単なる小さな小さな粒子です。しかし、ひとたび細胞内に侵入すると、細胞のシステムを拝借して自己複製を開始し、細胞外へ飛び出したウイルス粒子は組織や、個体や、そして時には社会を窮地に追いやります。私は、エボラウイルスやインフルエンザウイルスを対象に、ウイルスが細胞の中で増えるメカニズムを研究しています。タンパク質の形を捉える構造生物学の手法を用いて、合理的な創薬への応用を目指した基礎研究を行っています。具体的には、クライオ電子顕微鏡を主軸に、ウイルスの核タンパク質-ゲノム複合体の立体構造解明に取り組んでいます。このようなウイルスの基礎研究は、明日の感染者の命を救えるものではありません。一方で、地球規模の未来を救う可能性を秘めています。
実験にも解析にも何かと物入りな研究領域ですが、大学院生が応募できる研究費支援が限られている中でANRI基礎科学スカラーシップに採択いただけたこと、大変感謝しております。いただいたご支援を活かし、研究を加速させることはもちろん、私自身も研究者として一歩ずつ成長していきたいと思います。

■ 土本 晃久さん 東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻
持続可能な社会の実現に向け、再生可能エネルギーの活用は社会的な急務となっています。太陽光発電や風力発電は供給が不安定であるため、主要な電源として活用するには大型蓄電池が必要となります。現在主流のリチウムイオン電池は、レアメタルであるリチウムを使用するため大型化には不向きであり、代替する新規蓄電デバイスとして、原料資源が豊富で安価なナトリウムでリチウムを置換した、ナトリウムイオン電池の実用化が期待されています。しかしながら、リチウムイオン電池と比較するとエネルギー密度が低く、コスト面の優位が相殺され、実用化に向けたボトルネックとなっているのが現状です。近年、正極材料中の酸化物イオンが固相で酸化還元反応を起こすことによって高容量を示す例が報告されており、本研究では、これを用いた高エネルギー密度ナトリウムイオン電池用正極材料の開発を通じて、ナトリウムイオン電池の実用化を目指します。
今回、技術系スタートアップにも積極的な投資をされているANRI株式会社様による、基礎研究に特化した興味深いプログラムに採択いただき、大変嬉しく思います。いただいたご支援を活用し、研究がより魅力的なものになるよう邁進する所存です。

■ 香取 真知子さん  東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻
社会が複雑化したことで、人々は様々な睡眠パターンをとるようになってきています。その中には過眠症や不眠症などの睡眠障害に関連するものや、social jet lagのように病気に繋がるリスクの高いものがあります。睡眠表現型として知られるこの睡眠パターンは徐々に定義されてきていますが、社会にはまだ未定義な睡眠表現型や着目されていない睡眠表現型が存在すると考えられます。
私は大規模な睡眠データを利用することで、系統的に睡眠表現型の全貌を解明することを目指しています。明らかになった表現型間の遺伝情報や環境要因を比較することによって、何が睡眠表現型を決定しているのかが明らかになると期待しています。
一方で、集団における表現型の多様性というのは, ヒトの睡眠に限らず様々なところで観測されています。例えば、遺伝的に同一な細胞集団に致死的ストレスを与えると大多数が死ぬ一方で少数が生き残るという現象が知られており、遺伝型が同じ個体間でも表現型がばらつくことがわかっています。様々なレベルでの表現型の違いに着目することで、表現型の決定のメカニズムや多様化のメカニズムの解明を目指しています。
今回、ANRI奨学金に採択いただき大変感謝しております。いただいたご支援を活かし、より一層研究に邁進していきます。

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<ANRI基礎科学スカラーシップ/The ANRI Fellowhip募集要項>
※第四期生の募集については、2021年春以降にANRIメルマガでお知らせいたします※
~ANRIメルマガ登録フォーム~
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSfi6jslnTQmMQMVzP8Eb0PsjHpYLJX8g5haCUh8leEspiEcPg/viewform
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〈「ANRI基礎科学スカラーシップ」の概要と条件〉
1. 給付金額
-1人当たり50万円

 2.募集人数
 -最大10人

3.給付対象期間
-採択より1年

 4.募集対象
-数学や物理学、生物学、化学などの分野において優秀な成績を収めた学生
(具体的な年齢の制限は設けません)

 5.募集方法
-未定※例:略歴、業績、投稿済み論文(有れば)

6.選考方法
-書類選考(必要に応じて面接も実施)

8.応募注意事項 ※下記以外の書類は用意ができませんのでご注意下さい※
~ANRI提供可能資料以下3点のみ~

  1. ANRI学生向け研究費支給通知書
  2. 寄附金申込書
  3. 研究費使用規定
 
【ANRI 概要】
代表   : 佐俣アンリ
所在地  : 東京都渋谷区渋谷二丁目6番6-201号
URL   : https://anri.vc/

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November 27, 2020 at 08:00AM
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