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数理科学の強み持ち寄り社会課題解決 - SankeiBiz

 理研数理・江田哲也社長

 理化学研究所と理研鼎業、JSOLは共同で、ベンチャー企業「理研数理」を設立した。理研が抱える数理科学(数学・理論・計算)の高度人材(頭脳)と産業界の研究者・技術者が互いの強みを持ち寄って社会課題の解決に向け協業。新規事業領域を開拓するとともに新たな資金の流れを作る。社長に就任した江田哲也JSOL執行役員デジタルイノベーション事業本部長に設立の目的や今後の展開などを聞いた。

 “垣根”が革新阻む

 --設立の背景は

 「近年、人工知能(AI)やビッグデータ、スーパーコンピューターなど数理科学に関連した基礎研究、応用研究が世界的に著しく発展。その成果として海外では、多くの数理科学者が『GAFA』と呼ばれる米巨大IT企業などで活躍している。一方、日本では企業との垣根が依然として存在し、イノベーション創出の芽が生まれにくい環境となっている」

 「企業は『こうした製品を開発する』と明確な目的をもって大学や研究機関などに共同研究を持ち込む。言い換えると、それ以外には関心を持たず、連携で新たな研究テーマが見つかってもそのために研究を深めようという動機が生まれにくい。こうした状況を打破するのがベンチャー設立の狙いだ」

 --理研とJSOLが手を組んだ理由は

 「理研は2016年に数理創造プログラム(iTHEMS)を設立、若手の理論研究者が化学やライフサイエンス、医科学分野の研究室と協力し数理科学研究に取り組みながら、多くのデータをもつ企業との共同研究を進めてきた。JSOLとの金融データを用いた共同研究でも一定の成果を挙げたことから、この知的財産を創出した方法を他分野のデータの持ち主との協業にも転用することにした。新たに生み出した知財を活用し新規事業領域を増産する」

 製薬や自動車に注力

 --理研の頭脳をどう生かすのか

 「GAFAなどは高度数理人材を高額で独自採用し事業を拡大しているが、日本企業は高度人材を生かしきれていないし、理研も高度人材の流出に悩んでいる。研究体制の脆弱(ぜいじゃく)化をもたらしかねないからだ。そこで理研数理ではプロジェクトごとに理研の高度人材を企業に貸し出す仕組みをつくることにした」

 「例えば理研で週3日働き、週1日はプロジェクトに参加する。その報酬を企業からもらえば、好きな研究に打ち込みながらサラリーが増える。アライアンスを組みたいが高額で雇えない中堅企業も利用できるようになる。こうした理研と民間の人材還流を通じて双方の価値を相乗的に向上。学問の発展と人材育成につなげる」

 --企業からの引き合いは

 「当面は理研のシーズ(知財・研究員)を企業のニーズとマッチングさせて研究活動を組成する。将来的には、その研究活動から得られた知財の販売や、その知財を核としたサービスを開発・販売していく。まずはJSOLから金融経済分野の数理コンサルティング業務を受託することが決まっている。その後に注力していきたい産業分野は製薬や自動車。ますます高度な数理技術や計算機シミュレーションが要求されてきており、新しい価値を提供したい」

 --理研数理の将来的な方向性は

 「5年後に売り上げ5億円を見込むが、設立の目的は数理科学の社会実装を実現することであり、数理科学者の頭脳や研究費の良い循環が生まれること。同時に理研数理をイノベーションセンターとして新規事業やベンチャー企業を産出する。この成果として年間で最低1社の新会社設立を目指す」(松岡健夫)

【プロフィル】江田哲也

 えだ・てつや 明大商卒。1993年富士銀行(現みずほ銀行)入行。2002年日本総合研究所に入社し、06年日本総研ソリューションズ(現JSOL)へ移籍。14年執行役員、19年4月から現職。51歳。栃木県出身。

                  ◇

【会社概要】理研数理

 ▽本社=東京都中央区晴海2-5-24(JSOL内)

 ▽設立=2020年10月1日

 ▽資本金=300万円(JSOL50%、理研25%、理研鼎業25%)

 ▽事業内容=数理モデルの研究開発受託・コンサルティング

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November 19, 2020 at 04:17AM
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