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マクロミル新社長に聞く データ全盛時代のリサーチのあり方とは - 日経クロストレンド

マクロミルの佐々木徹社長へのインタビュー後編。データカンパニーの実現に向けた人材育成など事業拡充に向けた取り組み、そして今後のリサーチ事業のあり方などについて聞いた。

前編はこちら

海外では東南アジアを軸に拡大を図る

 リサーチからデータへと事業の基軸を大きく変えていくことを打ち出した、マクロミルの新たな社長 グローバルCEO(最高経営責任者)佐々木氏。今回はその実現に向けた人材育成など社内での取り組みや海外での事業拡大、そしてリサーチ事業のあり方など、マクロミルの今後について聞いた。

マクロミル社長 グローバルCEOの佐々木徹氏。中央大学商学部卒業後、一広、エービーシー・マートを経て2003年6月、マクロミル入社。リサーチディレクション、営業などの事業部門での経験、経営統合におけるPMI業務経験を経て、10年に執行役員 ネットリサーチ事業本部長に就任。18年9月より代表執行役副社長。20年9月29日から現職

マクロミル社長 グローバルCEOの佐々木徹氏。中央大学商学部卒業後、一広、エービーシー・マートを経て2003年6月、マクロミル入社。リサーチディレクション、営業などの事業部門での経験、経営統合におけるPMI業務経験を経て、10年に執行役員 ネットリサーチ事業本部長に就任。18年9月より代表執行役副社長。20年9月29日から現職

編集長・吾妻 拓(以下、吾妻) 社長就任以前はどのような業務を担当していたのでしょう?

佐々木 徹氏(以下、佐々木氏) 代表権は2018年に持っていて、子会社を含む日本事業と、韓国での事業を全て私が担当していましたね。

吾妻 グローバル全体を統括する立場となりましたが、マクロミル全体での課題はありますか。

佐々木氏 事業全体でいうと、海外でも企業のデータの利活用は大きな課題になっていると感じています。弊社の傘下にあるオランダのメトリックスラボでもそうした企業のサポートをしていますが、日本と同じ課題を抱えている会社が多いと聞いています。国によって個人情報の扱いが異なるといった課題はあるものの、データを扱うことがリサーチ会社として世界共通の進むべき進化だと信じています。

吾妻 グローバルでのデータ利活用はどの程度進んでいるのでしょう。

佐々木氏 弊社の日本における強みは自社パネルデータを保有し、そこからマーケティングデータを拡充させて企業のマーケティングリサーチに活用できること。購買データを基にしたアンケートにおいても、意識データからのアプローチではなく、購買した人に確実にアンケートを取れるようになっています。

 そしてこのデータの活用が最も進んでいるのが韓国です。韓国では弊社の子会社(マクロミル・エムブレイン)が約150万という自社パネルを持っており、それを活用したマーケティングデータの拡充によって韓国国内でも競争上非常に優位なポジションにいるのです。

吾妻 社長就任以降、データの利活用は一層強化していく考えでしょうか。

佐々木氏 そこは明確に強化していきますが、もう1つ強化していきたいのは東南アジアですね。弊社は創業以来、クライアントファーストであることを経営理念として持っていますが、そのクライアントのニーズに沿う形で必要と判断しているのが東南アジアでの事業強化です。

 具体的には、日本のビジネスモデルを東南アジアでもローカライズしていきたいと考えています。自社、あるいは自社に準ずるパネルを東南アジア各国で用意し、それを基にしたマーケティングデータを構築することで、企業のマーケティング活動に生かしていきたいですね。

吾妻 パネルを東南アジアの各国に持つのでしょうか?

佐々木氏 そうなりますね。弊社は中国と韓国に拠点があります。東南アジアでいうとメトリックスラボがシンガポールに拠点を持っていたのですが、19年にタイとベトナム、インドネシアでパネルを構築していたW&Sホールディングス(現・マクロミル・サウスイーストアジア)を子会社化して、拠点となるパネルを得ることができました。

 東南アジアへの進出は恐らく他社と比べても遅いと思いますが、東南アジア各国はデジタルデバイスの浸透と市場経済の発展が日本や欧米とは異なっており、マーケティングのデジタル化が非常に速く進んでいますし、デジタルも1つのメディアとして既に確立している状況です。参入は遅くてもデジタルを軸としたマーケティングサポートで巻き返せるのではないでしょうか。

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引く手あまたのデータ関連人材をどうやって確保する?

吾妻 データ関連の事業を強化するに当たり、現在どれくらいの規模の人材がその事業に携わっているのでしょう?

佐々木氏 統合データ事業本部やデータコンサルティング部など、関わっている部署の人数を合計すると50人前後ですね。3年前は10人規模だったのが、社内での人材育成により50人規模にまで成長しました。

 データ関連で受注している案件は2桁に達するかというくらいですが、クライアントとの取り組み方はこれまでとは全く違います。従来のリサーチであれば、1回ごとの課題に対してリサーチを請け負い、リポーティングする形でしたが、データの活用となると6カ月、1年という期間で取り組む必要があります。毎週のようにクライアントとミーティングして議論する、さらに進んだケースでは人材を出向して常駐させるケースもあります。

吾妻 データの活用に向けてはデータサイエンティストなどの人材確保が重要です。どのようにして増やしているのでしょうか。

佐々木氏 データサイエンティストはどの業界でも必要としている一方、日本ではまだ絶対数が少ないので獲得競争がし烈で、かなり獲得が難しい。そこで弊社では3年前から自前で育てる取り組みを実施しています。

 実際、滋賀大学や横浜市立大学など、データサイエンティスト専門の学部を持つ大学との産学連携に取り組み、大学院に社員を派遣したり、共同研究をしたりしています。また2年前からは新卒採用者に向けデータコンサルティングのコースを用意しており、1期生は1、2人程度でした。21年には「データアナリスト職」として10人近くを採用できればと考えています。

吾妻 人材確保のための採用活動強化に向け、力を入れていることはあるのですか?

佐々木氏 やはりマクロミルに対する認識を変えていかなくてはいけないでしょうね。弊社はまだデータカンパニーというポジションでは認識されていないのが現状ですから。DX(デジタルトランスフォーメーション)といってもITやテクノロジー関連に投資することまでは分かりやすいのですが、実はその先が重要で多くの企業が困っているところでもあり、そうした部分でポジションを確立することを進めていきたい。

 体力面でのダイナミズムでいうと他社に勝てない部分がありますが、弊社は位置情報だけでなく購買データ、Web広告の接触ログなどの多様なデータを保有しています。企業マーケティングの日常のPDCAをサポートしてデータの利活用につなげ、マーケティングの施策につなぎこむというミッションに学生などが魅力を感じてもらえるよう説明していければと考えています。

吾妻 人材の確保やデータの整理は地味で時間がかかるものなので、海外ではアウトソーシングする会社も増えています。そうしたものを活用することは考えていますか?

佐々木氏 まだ自前でパターン化できているわけではないので、クライアントの課題を聞きながら一緒に取り組むことが重要と考えています。現在はまだ、我々が直接出向いてトライ・アンド・エラーを繰り返すフェーズではないでしょうか。

 またデータを扱うこともあり、簡単にアウトソースできるのか? という部分は気にする必要があるでしょうね。できれば弊社で勝ちパターンを作り上げ、それを軸にプラットフォーム化できればと考えています。

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